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おくりびと [DVD] おくりびとのレビュー

おくりびと [DVD]おくりびと [DVD]
(2009/03/18)
本木雅弘広末涼子

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 秀逸。 余計なシーンやせりふがない。 納棺師本木さん、山崎さんの、指先まで全神経を集中させたような、きめ細やかな演技

  映像は、この日本のくにの、四季の情景描写が、ただ、ひたすら美しい。 そしてこの映画を支えるもうひとつの要素。 チェロの旋律が随所に、叙情的に、川のせせらぎのように流れ、心が清められるような気さえした。 職を失ったチェロ奏者大悟は、故郷山形に帰り納棺師に。

 悲しみに沈む遺族の前で、ご遺体を美しく整え納棺する、崇高なる儀式の遂行者。 当初この仕事を拒絶した妻も、大悟がかれの友人の母の納棺を厳粛に執り行うのをみて、この職務が人間愛がなくてはできない、立派で気高いものだと理解し始める。。。

 ラストがこの上なく、印象深い。 妻子を捨て、実に30年ののち、ひっそりとんだ大悟の父(故・峰岸徹さん)。 その父の納棺を、大悟が自らの手で行うとき、父の手中に握られていたものとは。。。

 別離していた父子の心が、最後の、本当の最後に、やっと通い合うような、静かな場面が、みるものの胸をうってやまず、感動の余韻を、いつまでも、心に残すのだ。。。 公開直後、本当に亡くなられてしまった峰岸徹さんに合掌。

 人はやがてぬ。人は死者をおくり出し、やがて自分もおくり出される。すべてのひとに平等に訪れる、その、静寂のとき。 ひとが生き、やがてぬことを真摯に受け止めさせられ、「おくる」、「おくられる」そのときと、人生の時間の大切さを、しみじみと考えさせられた。

  みるものの魂に静かに染み入るような、美しく、情緒的で、そして品格の高い、日本映画の秀作の中の秀作。 星6つにも値する、私達にとって、とても大切な作品ではないかとおもいます。

 ぜひとも、多くのかたにご鑑賞いただきたいです。 私の祖母は、生前まったく化粧っ気がなかったのだが、納棺師さんによって、息を呑むほど美しくなった。この映画に出てくるガンで奥様を亡くした男性が「あいつ、今までで一番きれいだった」と言った場面と、当時の祖母の姿がだぶり、胸が熱くなった。     


 この映画は、は決して悲しいものではなく、ましてや不浄なものでもないということを真っ直ぐに物語ってくれている。しかも変に美化することもなく、「この世に生を受けたものはやがて土に帰るのだ」という自然の法則や「自分たちはすべて宇宙とつながっている」という、我々の生命のつながりに対する思いを呼び覚まさせてくれる。    


 そんな感動と同時に、世間での職業差別や偏見にもスポットを当てている。本木さん演じる大悟も妻に「汚らわしい」と避けられる。納棺師と同じく、電車事故等の死体を処理する人もそんなふうに思われているのではないか?皆が嫌がる仕事をして、何で差別されねばならないのか?警察官はよくて、なぜ処理係は駄目なのか?  

 また大悟が山崎さん演じる佐々木に「んだ人を触る僕達は白い目で見られて、んだ動物や魚を触る料理人達は世間に歓迎されるのは何でですか?」と尋ねる場面があるが、それに対し佐々木は「人間に限らず、大抵の生き物は自分のを保つため他のを犠牲にする。そういうにはみんな目をつぶるのだ」と答えていた。  

 つまり、自分が生きていくためには弱肉強食という大義名分のもとに見て見ぬフリができるが、事故現場や納棺では、死者本人から自分自身のに対する恐怖を投影させてしまうから目を背けようにも背けられない。故にそれに耐え切れず嫌悪感が湧いてくるのだろう。  



 この映画は、そんな人間(生き物すべて)の悲しい性を、納棺師という職業を通してじっくり考える時間を与えてくれる、崇高な作品だ。しかも、悲しいだけじゃなく、送る側と送られる側に「ありがとう。さようなら」「いってらっしゃい。また会おうね」と希望で心を潤わせてくれる作品でもある。  

 最後に、この映画のタイトルを平仮名で「おくりびと」としたのは素晴らしい感性だ。日本語の持つやわらかさ、美しい響きがストーリーを一層引き立てている。




 アカデミー賞外国語映画部門で「おくりびと」が最優秀賞に輝いた。暗いニュースが多い中大変明るい話題です。これからの日本映画の歴史に燦然と輝く快挙ですね。  

 これまでのカンヌ映画祭ベルリン映画祭では最優秀作品賞受賞がありましたが、アカデミー賞ではご存じ初です。最近では、03年山田洋二監督「たそがれ清兵衛」が本選ノミネートされた時も大きなニュースになりましたが、今回は大賞受賞。本当におめでとうございます。

 一映画ファンとしてとても嬉しく思います。  また、これまで世界の舞台での受賞作品は「侍」が活躍をする時代ものが多かった。本作はお葬式を舞台にした、これまで世界に好まれた作品とは全く異なるストーリーである。そのような意味でも高い評価になるのではないだろうか。

 本作は映画だけではなく、小説、そしてマンガにもなっている。  そういえば、先日の直木賞受賞作品「悼む人」も「」をテーマにした作品でした。

 五木寛之氏の評価で、が軽んじられている時代、出るべくして出たというようなコメントがあったように思いますが、映画おくりびと」そして「悼む人」それぞれ若者がに向き合う作品です。併せてご覧になるのも良いのではないでしょうか。

  ひょんなことから「納棺師」という、あまりメジャーではない職業についた元チェロ奏者。個人的には、これだけでも「観たい」と思わせるのに十分な魅力的設定ですが、主演の本木雅弘が凛とした姿勢で見せる納棺の儀で始まるオープニングには一発でやられてしまいました。

 人間がんだ時のインパクトというのは本当に強烈であり、いままで平静を装っていた周囲の人々の本当の姿をもさらけ出してしまう。それは必ずしも、「悲しさ」「辛さ」だけじゃなくて、時に、他人には滑稽に映るような「ユーモア」さも内包している。

 「」がテーマのひとつなのに、重くなりすぎない絶妙の笑いが配置されていて、それでも決して、人間の尊厳を損なわない真摯な空気が保たれている所が素晴らしいです。 そして、やはりこの映画の見所は、いままであまり知られていなかった「納棺」についてなのではないでしょうか。

 普段はあまりお目にかかることはないであろう「納棺」。そこに携わる仕事の裏側を、トリビア的に知ることができる楽しみもあります。死者を送り出す納棺師仕事振りを、徹底的なこだわりをもって再現した本木雅弘の演技も素晴らしいし、山崎努演じる社長のウンチクも味わい深い。

  誰にとっても訪れる「」を、厳かに、穏やかに、美しく見送る「納棺師」。最初は偏見をもって見ていた人々も、やがてその優しさに触れて心を開いていく展開が良い。もちろん、挫折した一人の男の再生ストーリーとしても面白く、ここまで完成度の高い邦画は近年でもあまりないのではないと思います。久々の5つ星とさせていただきます。

  ただ、変な話ですが、30代半ばで親もまだ健在の私には、まだこの映画の真の良さは判っていないような気もします。年をとった時、将来、大事な誰かを亡くした時、もう一度この映画を観たら、又、別の感慨があるのかもしれませんね・・・。 まず、納棺師という職業を扱った作劇のアイデアが独創的ですよね。

  「」まるわる仕事は、ついつい世の中ら影の存在として扱われますが、それに光を当て、日本文化のもつ「因習」の美学へと高める佇まいが、素晴らしいです。 伊丹十三監督が「お葬式」で葬儀屋のシステムを紹介したが、冒頭のコメディ色のある掴みのエピソードを見て、本作はちょっと「お葬式」に近い部分がるし、「たんぽぽ」なあったような、「ふぐの白子」「フライドチキン」とかの食べ物へのこだわり描写などもあって、伊丹十三監督映画へのオマージュが感じられました。

 それは、少々ネタバレにもなりますが「生き物は生き物を食って生きている。どうせ食うなら美味いものがいい。」そして、食も一つの儀式である。儀式なしに「食らう」ことは可能だが、どういう調理で、どういう皿で、どういう盛り付けで食べるかは、儀式であり、その儀式を通じて、生き物の「」に始末をつけるのだという思い...。

 配役もパーフェクトに近い。社長役の山崎努はもう磐石。わけありで彼の事務所で働く女性を余貴美子、その田舎の町で銭湯を一人で経営している老女を吉行和子、彼女に惚れ、いつも銭湯に来ている老人の笹野高史もいい味。

 そして、主人公の本木雅弘と妻役の広末涼子が抑制のきいた演技で演じています。 「」に対して真摯に向きあっていることが一貫して感じられましたし、納棺師所作儀式美を生み出している。
 
 これがポイントを高めていますね。舞とか能のような洗練された所作。 当然ながら猛特訓を重ねたのでしょうが、手の動きや動作が綺麗ですよ。その一連の所作を見せるエンドロールは必見です。

 日本人が元来持っている「生観」が納棺師という仕事を通じて、深く、丁寧に、描かれている。を意識すれば、生が浮上してくる。別れを知れば、出会いがよりかけがえのないものになる。に接することによって、今自分が生きていることの輝きを再認識できる。それはつまり「をないがしろにすれば、生もおろそかになる」という『メメント・モリ』のテーマそのもの。生と同じく、もまた尊いものなのだ。

  それにしても、「納棺師」という仕事は、なんて奥深いのだろう。妻に「汚らわしい」といわれるように、ご遺体を扱うのだから、初めはみんな、うさんくさい目で見ている。

 それが、作業終了後には遺族がこぞって必ず感謝の言葉を述べる。体を清め、綺麗な衣装を着せ、化粧をほどこす。その一連の作業には、凛とした美しさがあり、茶道や華道、武道などに通じるものがあると感じた。

 そして、納棺師で最も感動的なのが、どんな死者であれ、平等に注がれる彼らの温かく優しい眼差しだ。亡き人と遺族の関係は平穏であるとは限らない。恨まれながらんでいく人だっている。そんな死者にも納棺師は凛々しい所作と優しい眼差しで向かい合う。一部始終を見ていた遺族は、心が洗われて、思い知らされるのである。

 が厳粛であり、別れが悲しいものであることを。この納棺師のひたすら美しい儀式は、一度でも親類縁者を出棺した経験がある人なら、涙なくして見られないだろう。恥ずかしながら、私は納棺の場面のたびに泣いていた。


 全編で本木雅弘の静かな熱演が光っている。彼がチェロを弾くシーンを観ると、ボウイング(運弓法)や運指法が音楽にほぼぴたっと合っている。相当な特訓を積んだ後がうかがえる。そして、まだ幼少の息子と妻を捨て、愛人と家を出て行った父親の生きざまを、台詞ではなく、荒波を乗り越えて生き抜いてきた男の顔で語っている、峰岸徹の遺作としても記憶にとどめておくべき作品だろう。


 壬生義士伝の滝田洋二郎監督の作品。主人公の男性(本木雅弘)はプロのチェロ奏者になる夢に挫折したため、亡き母が残した実家に戻り職を探す。若い妻(広末涼子)に内緒でしかたなく遺体を棺桶に移す納棺師の職につくが、納棺師は忌み嫌う者が多い職業であった。


 最初はいやいや仕事をしていたが、上司(山崎努)の真摯な姿勢や、多くの死者とその家族に接しながら、納棺師という仕事のすばらしさに気づく。
 
 しかし、妻や友人がその職に気づくあたりから人間関係が壊れていくが、意外な展開ですべてがクライマックスに終結する。 非常に美しい映画で、時間内に登場する出来事や台詞に全く無駄がないどころか、あらゆるものが複雑に連携し、見るたびに多くのメッセージに気づかされる。

 主人公がこよなく愛するチェロは、子供の頃に家を捨てていった憎むべき父親が買い与えたものであり、父に対してはきわめて複雑な感情を抱いている。また、食事のシーンは生物の屍体を『いただいている』という強烈なジレンマを感じさせる。

 仕事の美しさや家族の愛情とは何なのかを、納棺師という特殊な職業を通じてみんなで学ぶ作品であった。また、涙あり、笑いありで最初から最後まで休みなく心が揺すぶられる作品であった。 間違いなく2008年で最も美しい作品で、今までに見たすべての映画の中でも五指に入る秀作。

 アカデミー賞外国語映画部門での評価に期待できる、日本を代表する作品と思う。チェロが奏でるメロディーも秀逸で、既にCDを購入した。きわめて完成度が高く、文句なく星5つ。


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