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初めて写経をする人のための般若心経意味解説 般若心経 無無明亦無無明尽乃至無老死亦無老死尽無苦集滅道無智亦無得 その3
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般若心経 無無明亦無無明尽乃至無老死亦無老死尽無苦集滅道無智亦無得 その3

般若心経 無無明亦無無明尽乃至無老死亦無老死尽無苦集滅道無智亦無得 その3



 前回の”その2”で触れた「無」についてもう少し深く触れてみたいと思います。

 今までの般若心経の経文をみても「無」で否定されているのは、どれも仏教では根本教説されているものばかりです。

 いわば、お釈迦様の教えの真髄といってもいいでしょう。それを否定する「無」とはどういうことでしょうか?般若心経はお釈迦様の教えを否定しているのでしょうか?

 

 いいえ、ここにも深い考えがあるのです。

 つまり、ここまで見てきた「無」には、単なる否定だけではない、別の意味があるのではないかと思います。

 

 仏教の経典は、どれもお釈迦様が亡くなってから編纂(へんさん)されたものです。

 多くの人々が多大な時間をかけて編纂しているうちに、お釈迦様の教えを曲解するようなことも起こったのではないかと思います。

 お釈迦様の偉大な教えを未熟なもの達が勝手に解釈してしまったことも想像できます。

 それを訂正するために、細かなところまで定義しなければならなくなったりしてどんどん教えが複雑に定義されることも起こりえます。

 そうなると、細かいことばかりにこだわって本当の教えが分からなくなってしまうこともあるでしょう。


 今日の法律も同じようなことが言えます。あまり、細かな部分にこだわりすぎて人を守るべき法律が、悪いことを考える人のための道具に変化してしまうこともよくあることです。

 般若心経も苦を取り除く般若波羅蜜多の行の大切さを教えているのに、あまり定義にこだわりすぎてしまうと苦を取り除く教えが苦を生み出す原因になってしまうのです。

 
 だからこそ、般若心経ではお釈迦様の根本教説の前に「無」をつけてこだわりがちな私たちの気持ちを諫(いさ)めているのだと思います。

 例えば、日常よく使う言葉に「無欲」という言葉があります。人によって使い方はさまざまですが、「あいつは欲がないやつだ、もっと欲張ってもいいのに・・・」と否定的にとらえる人もいれば「あのひとは欲張らない調和の取れた人だ」と肯定的にとらえる人もいます。

 私は、後者の意味でとらえるべきだと思います。理由はうまく言えませんがその方が心がほっとするからです。

 もう1つ「無力」という言葉。「俺は何て無力なやつなんだ」と嘆いたりもしますが、「力の抜けたリラックスしたいい状態」という意味でとらえることも出来ます。



 また、最近ニュースで毎日のように報道されているアカデミー賞外国語部門受賞の映画おくりびと」では、「納棺師」という職業にスポットがあたっています。

 俳優の本木雅弘さんの美しい所作が高い評価を得ていますが、あの映画が高い評価を得たのは「寸分狂いもない納棺師の所作」が良かったからではなく、「納棺師」を通して「死」とどう向き合っていけばよいのか、という心を世界中の人が大きく揺さぶられたからだと思います。

 本木雅弘さんの演技が作法に気を取られすぎて、1つ1つの演技に心がこもっていなかったらきっとアカデミー賞は取れなかったでしょう。


 長くなりましたが、般若心経はどんなにすばらしい教えであっても定義や理屈ばかりにこだわっていると役に立たないものになってしまうことを説いているのだと思います。

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